シンガポールに見るデルタ株に対するワクチンの効果:感染予防と重症化に与える影響は?

新型コロナウイルスワクチンを打つつもりだけど、なかなか予約が取れずヤキモキしている人が多くなってきましたね。

「新型コロナウイルスワクチンは有名アーティストのプラチナチケット並に予約が取れない・・・(涙)」と言っているのが印象的でした。

希望する人には早く打てる体制が整うのを願うばかりです。

 

私達のクリニックでも新型コロナウイルスワクチンを打ってはいますが、とにかく数が少ない・・・

9月の予約は埋まってしまい、次は10月下旬という状況になっています。

 

新型コロナウイルスワクチンを早く打ちたいと思う人がいる一方で、ワクチンの効果について懐疑的に思っている人もいるでしょう。

特に世界中のデルタ株流行を考えると、デルタ株に対する効果は疑問が残るところです。

私もワクチンの効果がどうなのか気になってしまいます。

発熱の患者を診察する以上、新型コロナウイルスに感染するリスクはありますからね・・・

 

そこで新型コロナウイルスワクチンの効果を示す臨床的データがないかと探しておりますが、日本のデータは現時点では見つけられませんでした。

データを探しているなかで、シンガポールの新型コロナウイルス感染者に関する下記のようなデータを見つけました。

AERA 2021年9月6日号

https://news.yahoo.co.jp/articles/ee85f39eedb8a85f214ebe62264481a49a85c5eb

 

このデータの信憑性ははっきりしませんが、この記事を見る限りシンガポール政府の発表となっており、信頼できるデータと考えました。

このデータを元に新型コロナウイルスワクチンの効果を考察してみたいと思います。

 

テーマは2つ。

  1. 新型コロナウイルスワクチンは新型コルナウイルス(デルタ株)の感染を抑制するのか?
  2. 新型コロナウイルスワクチンは新型コロナウイルス感染症の重症化を予防するのか?

 

まずシンガポールの新型コロナウイルスおよびワクチンの状況について書いておきます。

シンガポールでも例外なくデルタ株がほとんどです。

シンガポールは世界的にもワクチン接種が進んでいる国で、少なくとも1回以上ワクチンを打った人が8割ぐらいいます。

使っているワクチンはファイザー・ビオンテック社とモデルナ社ですので、日本と同じと考えていいでしょう。

 

データの元になっているのは、記事の内容から7月28日~8月24日と推察されます。

その間のワクチン接種状況ですが、

7月29日時点(7月28日はデータなし)でのワクチン接種率は75.2%(1回18.0%、2回18.0%)

8月24日時点でのワクチン接種率は80.2%(1回4.0%、2回76.2%)

です。

日本と比べると圧倒的な接種率!!!

 

まあそれはさておき、まずは感染予防に対する新型コロナウイルスワクチンの効果を推察していきます。

ワクチン接種率は日々増加していて一定の数にするのが難しいので、ここでは便宜上、平均の値を使って

ワクチン接種率77.7%(1回11.0%、2回66.7%)、ワクチン非接種率22.3%

とします。

 

この期間における新型コロナウイルス新規感染者は2127名。

そのうちワクチン接種者は1575名の74.0%(ワクチン1回接種者では536名の25.2%、ワクチン2回接種者では1039名の48.8%)

ワクチン非接種者では552名の26.0%です。

 

この比率をワクチン接種率の比率と比較していきます。

もし新型コロナウイルスワクチンによる感染予防効果が全くないとすれば、新型コロナウイルス感染者の比率はワクチン接種率と同じくらいになるはずです。

もし新型コロナウイルスワクチンが感染予防効果を発揮するとすれば、新型コロナウイルス感染者の比率はワクチン接種者で低くなってくるはずです。

 

さきほどの値を表にして比べてみましょう。

ワクチン接種あり(総数) ワクチン接種あり(1回のみ) ワクチン接種あり(2回完了) ワクチン接種なし
ワクチン接種率の割合 77.7% 11.0% 66.7% 22.3%
新型コロナウイルス感染者の割合 74.0% 25.2% 48.8% 26.0%

 

まず単純にワクチン接種の有無により新型コロナウイルス感染者の比率が異なるか見てみましょう。

う~ん、どう見てもあまり差がないですよね・・・

ということは、新型コロナウイルスワクチンは感染予防に対しては効果なさそうだということです。

ただし、接種回数に分けて詳細に見ていくと、1回目のみの接種者では新型コロナウイルス感染者の比率が高くなり2回目では逆に新型コロナウイルス感染者の比率が低くなっています

 

ということで、これらのデータから推察すると、

 

新型コロナウイルスワクチンを1回だけ接種すると新型コロナウイルスに感染する確率がやや高くなり、

2回完了すると新型コロナウイルスに感染する確率がやや低くなる

 

ということになりそうです。

副反応を恐れて新型コロナウイルスワクチンを1回しか接種しない人もいると聞きますが、それが一番感染しやすい状況のようですよ。

 

次に新型コロナウイルスワクチンが重症化を予防するかどうかです。

リンク先のデータを表にします。

ワクチン接種完全接種 ワクチン部分接種 ワクチン未接種
無症状・軽症 98.4% 96.3% 91.3%
酸素吸入 1.3% 3.4% 5.8%
集中治療室 0.2% 0.2% 1.3%
死亡 0.1% 0.2% 1.6%

 

この表を見ると、新型コロナウイルスに感染しても重症化する割合は高くなく、ワクチンの効果がわかりにくいと思いますので、

 

有効率

 

という、もっとわかりやすい数字にしてみましょう。

 

死亡抑制に対する有効率

完全接種の場合、(1ー0.1% ÷1.6%)×100=93.8%

部分接種の場合、(1ー0.2% ÷1.6%)×100=87.5%

うん、これは効いていますね!!!

 

重症化(酸素吸入と集中治療室)に対する有効率

完全接種の場合、(1ー1.5% ÷7.1%)×100=78.9%

部分接種の場合、(1ー3.6% ÷7.1%)×100=49.3%

先ほどよりは有効率が落ちますが、これも効いていますね!!!

 

ついでの酸素吸入と集中治療室、死亡全てをまとめた有効率

完全接種の場合、(1ー1.6% ÷8.7%)×100=81.6%

部分接種の場合、(1ー3.8% ÷8.7%)×100=56.3%

となります。

 

これらの結果をまとめると

 

新型コロナウイルスワクチンを完全接種すると、やや感染が抑えられ、重症化や死亡は大いに抑えられる

 

と推察されます。

 

新型コロナウイルスワクチン接種の参考にして頂けたら幸いです。

 

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